【完】好きなんだけど、責任とってよ
この日の夜私は奈津に家まで送ってもらった。
気まづい訳でもなく何を話す訳でもなくただふたりで並んで歩いていた。
でも、私の家に着いた時奈津が初めて自分から声をかけてくれた。
『俺って莉子のこと何も知らないんだな。』
どこか儚げに言われたその言葉は私の胸をいっぱいにするには充分だった。
『奈津が見てる私が全てだよ。』
それが私が応えられる精一杯の答えだった。
奈津に隠し事をしてる訳でも無ければ、言わなければならないことなんて何一つない私にはこれが多分一番の答えだった。
奈津が私に興味を示してくれるだけでそれだけで充分だった。
これからも一歩一歩奈津との距離を縮めよう。
まだまだ私たちはこれからなんだから。
そういうように私は
『また、明日学校で…気をつけて帰ってね』
と奈津に今日一番の笑顔を向けた。