逆転バレンタイン!?〜お前のチョコは食えねぇわ〜
差し出されたチョコ
「痛い!横山」
思いっきり掴まれる腕の力に横山は男の子なんだって思い知らされる。
私が限界になって声を上げると、横山がようやく、腕を掴んでいたことを思い出したらしく、
「あ、悪い」
そう言って話してくれた。
横山が何をしたいか分からず、怪訝に思って、2、3歩下がる。
連れてこられたのは、今じゃ物置化している教室が並ぶ校舎の4階だった。
人の気配は私たち以外にいない。
「な、何で横山がいるの?佑美ちゃんは?」
とりあえず、思ったことを口にすると、横山も怪訝そうな表情を浮かべた。
「佑美なら、チョコ渡しに行ったんだろう?さっきそんな事言ってどっか行ったぞ」
「え、横山に渡しに行ったんじゃなかったの?」
「俺なら、朝一に下駄箱で貰ったぞ」
……うそ。
「じゃあ、佑美ちゃんが告白しに行ったのって……」
「ああ、確か、サッカー部の2年生」
佑美ちゃんの好きな人って、横山じゃなかったんだ。
心の中で安堵する。
あたしって本当に単純。