逆転バレンタイン!?〜お前のチョコは食えねぇわ〜

素直になって



佑美ちゃんが来たのは、始業のチャイムが鳴る少し前だった。

「チョコ作ってたら、寝坊した〜」

言い訳も可愛らしかった佑美ちゃんからチョコを受け取ったのは、昼休みだ。

ちょうど、あたしがごはんを食べ終えたタイミングで差し出されたチョコ。
ツイッターに載っていた写真と同じ、ハートの袋。

同じものを横山にも渡すのかと複雑になりながらも、ありがたく受け取った。

「開けて見て」

促されラッピングを開けている途中、ハート型の箱を手に取った佑美ちゃんは、立ち上がる。

「何処行くの?」

メッセージカードを取り出してから、尋ねた。
「本命チョコを渡しに」

「えっ!?」

そっか。
本命チョコはあたしと同じものな訳ないよね。

よく見れば、いつもいる横山がいない。

ああ、そっか。
今から、渡しに行くんだ。横山に……。

「告白するつもりなの。上手くいくように応援して!」

告白まで……。

絶望的になったあたしが上手く、佑美ちゃんに笑われていたかはわからない。

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