背中
エゴンシーレという作家にそんなに思い入れはなく、名前をうっすらとどこかで聞いたことがあることとクリムトと関係があるという、だいぶにアバウトな下情報だけを頼りにチケット応募のページでメールアドレスを入力した。他の作品に応募した時は全くかすりもしなかったのが、今回は忘れた頃にという間もなくすぐにチケットが送られてきた。あまりにも人気がないのか関連のサービスに年会費を2万円ほど払ってるせいなのかどちらかは知ろうとしたらきっと知ることができるのだろうけど、そこまでにかかる時間と労力とを考えるとかなりどうでも良過ぎる疑問なので考えた時間を少し無駄にした気がして自分の思考に文句を言いたくなる。
大して深い興味を持たない彼の生涯を描いた作品を観たいと思うのは、この考え方から言うとかなりの時間の無駄になるという皮肉な結果ではあるけれども、きっかけは何でも構わない。
映画を観るきっかけなんてそんな小さな興味からのこともたくさんある。
そしてその小さな興味や選択がパラレルに存在しうるかもしれない未来のひと時を決定するということがある一説にはあるけれども、選択をした時点で他の未来を取ることはできなくなる訳ではなく、やり直したければ今した選択は選択のままでまた新しい選択をすると良い。よほどの重要な選択でない限りやり直しは可能だ。

何年前になるのかが既にもう良くわからないまま、ラインを手当たり次第に送っていた自分の未熟さが改善したのは年齢のせいだとぼんやりと思うが、手当たり次第に送るクセがなければ出会いもまたあるものじゃない。
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