街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「で、手前から順に進路指導室で……」
一階につき、階段のところからそうざっくり説明した。
とりあえずわかりやすく標識らしきものもあるし、わかるだろ。
「で、こっち。
この靴箱前の広いスペースが購買になる。
今日はいねーけど。」
そんな説明をしながら、俺たちは渡り廊下を歩いていく。
「ここに自販機な。」
自販機を通りすぎれば、西館が待っている。
「右の奥から書道室とかあって、左側に更衣室。
体育の前は必ずそこで着替える。
更衣室の奥には外へ出られるドアがあって、左にいくと校庭に、右にいくと体育館に行けるから、体育の時は靴も持っていけよ。」
そんな説明をしながら、階段を上がっていく。
「そうだ、体育館入り口横に体育教官室があるんだけどね、そこは入らない方がいいよ!
めっちゃ臭いから!」
そうやって説明する智樹に、俺も笑ってしまった。
「あれな。なんであんなくせーんだかな。」
「足が強烈だよな!ぶっ倒れそう。」
「ハゲだし足はくせーし、あれは一生結婚できねーな。」
なんて笑いながら話す俺らだけど、仁科は全くもって会話には入ってこないし、笑いもしない。
「仁科ちゃんもあの臭いには気を付けてね!」
と智樹が優しく言っても無反応。
「…なぁ、少しはなんか喋ったりできねーの?
シカトかよ。」
「まぁまぁまぁ。
まだ緊張してんだって!」
ったく、美人には弱い男だな…