街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
━━翌日
「よ、大翔。」
「おう、智樹。はよ。」
今日もぐだぐだと、朝から歩いて学校へ向かっていた。
まぁすぐそこなんだけどさ。
「昨日、佐伯と会ったんだって?」
「なんでお前が知ってんの?」
「佐伯から連絡来たから。
大翔の連絡先教えてーって。」
「まさか教えてねーよな?」
「教えてねーよ。
っていうか、大翔金無さすぎてスマホ持ってないっていっといた。」
「さすが。」
いったいどんだけ金ないんだよって話だけど、金がないのは本当の話。
「もう別れて1年半たつし、佐伯も大翔と戻りたいわけじゃないだろうし
連絡先くらい良くねー?」
「必要ねーだろ。俺は嫌いなんだから。
仲良くする気もねーのにわざわざ教えたりしねーよ。」
「まぁ今は仁科ちゃんもいるしなぁ。」
……それはよくわかんねーけど。
心優は俺の元カノとか全く興味無さそうだけど。
「とりあえずさ、大翔今日バイト休みだろ?」
「だからなんでお前は俺のシフトを把握してんだよ。」
「まぁまぁまぁ。それはいいとして。
ほら、これやるから仁科ちゃんと観てこいよ。たまには。
せっかくの土曜日なんだし。」
「……恋愛映画の無料券って。
なんで智樹がこれを持ってんの?」
「親からもらったけど、俺には彼女と言うものがいないからさ。」
……なんでそんなどや顔なんだよ。
お前も選ばなきゃ彼女くらいできるだろ。普通に。
「…まぁ、心優に聞いてみるけど。」
「いや、仁科ちゃんはもう承諾済みだから。」
……なんなんだ、そのシステム。
俺のがあとなのかよ。