街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



つーことで、放課後


「恋愛映画なんてかなり久しぶりなんだけど。」


「俺なんて初めて見に行くけど。」


俺らは本当に映画を見に行くことにした。
ま、せっかく智樹がくれたし、どうせ暇だしな。


「なのに今日が掃除当番なんて最悪。」


「まぁ俺も手伝ってんだしさっさと終わらせよ。」


そう、こんな日なのに運悪く心優が掃除当番な今日。


「だからってなんで俺まで…」


ま、当然のことながら智樹も道連れだけど。


「どうせバイトまで時間あるんだろ?
3人でやった方が早いだろ。
だいすきな心優のためだろ。頑張れ。」


「大翔が早く帰りたいだけだろ!!」


「あはは、だいすきな大翔のために頑張ってね、智樹。」


「俺は都合のいい男じゃねぇ!!」


と言いつつ、ちゃんと手伝っていくのが智樹だ。


「さてと、俺は黒板担当~」


「大翔はいつもそれしかやんないもんな。」


「まぁな。」


黒板消しを綺麗にし、丁寧に黒板を拭く。
黒板消しで白く曇った黒板をまた黒く戻すのが、なんとも気持ちいい。

小学生の頃から、俺はこの掃除がだいすきだ。
……掃除の中では、だけど。


「大翔は黒板が得意なの?」


「んー?まぁね。
やっぱ教室ん中で一番大きくて存在感があるから、黒板が綺麗なだけできれいに見えるじゃん?
たとえ他がちょっと汚くてもさ。」


「あー、それはちょっとわかるかも。」


どうせまたすぐ汚くなる。
でも汚ければまた綺麗にしたくなるのが俺心ってもんなんだよ。



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