街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
それから15分ほど、俺は黒板だけを綺麗にし、気づけば智樹と心優で教室全体がきれいになっていた。
「大翔~、俺もう行かねーと間に合わねーし行くけど。」
「え?そんなはえーの?バイト。」
まだ12時じゃん。
「その前に家で飯を食うんだよ!
バイトは1時からだし、けっこうギリなんだよ。
じゃーな!」
智樹はそういって、俺らの返事を待たずにさっさと教室を出ていった。
「帰るのだけは早いんだよな、あいつ。」
「智樹らしくていいじゃん。
私たちもゴミ捨てて帰ろ。」
「だな。」
つっても帰るついでにゴミを捨てていく、なんてことはできないから
ゴミ箱ごと俺が持ち、結局一緒にゴミ捨て場まで向かうだけ。
「聖凛にも掃除当番なんてあった?」
「もちろん。
自分たちで使う学舎は自分たちできれいにする、が基本。
ただ、床は絨毯張りだったから掃除機だったし、机も木じゃなかったから雑巾で拭いてたし、黒板じゃなくてホワイトボードだったから今日大翔がやってたような作業もなかったけどね。
ゴミは先生が持っていってた。」
「なにそれ、超楽じゃん!」
「でも聖凛は全ての教室がガラス張りだったから、ガラスの掃除もあったし、
全教室にベランダがあったからベランダの掃除もしてたし
そっちの方が大変だったかな。
それにここは教室だけだけど、廊下とかもホールも掃除しなきゃだったしね。」
……うん、やっぱ大変だ。
さすが聖凛。うん。
でも、聖凛に通うほとんどがお嬢様なわけだから、きっと学校くらいでしか掃除なんてしないんだろうな。
心優も家事なんてほぼできないみたいだし。