街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
俺がうなだれていても、俺の前の席に座る智樹がちょっかい出してくるから、結局うなだれていることもできないんだけど。
「……そういや智樹、今日暇?」
「バイト~。」
「なんだよ、使えねーやつ。」
「大翔バイト休みなん?」
「休み。」
智樹はバイトか。
かといって他のやつ誘うのもだるいし、だからといって家に一人でいるにもなんかもったいねーし……
……もう、心優は俺んちに来ねーだろうしな…
結局うなだれる俺に
「なぁ、大翔。」
「なんだよ。」
智樹は近づいてきて、小声で話しかけてきた。
「別れたんだってな?」
「あー、まぁ。
好きな人がいるとかで。」
「ふーん?
大翔が振られるなんてなかなか見られたものじゃねーよな。
だから?そんなグダってんの。」
「そういうわけじゃねーけど。」
「好きな人、誰か聞いたか?」
「聞かなくても予想つく。」
どうせ元カレだろ。
つーか、他にいないだろって話。
「……そういや智樹、昨日心優と会ってたな。
なに話してた?」
「じ、実は・・・」
……あー、なんかめっちゃくだらねー回答が来そう。
嘘つくの丸わかり。
「・・・俺ら付き合うことに「腹へったわ」
「こら!最後まで聞け!!」
「下手くそすぎなんだよ。」
本当はもっと上手に嘘つけるくせに。