街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



それから一言ずつ書いて、まとめた荷物をもって下へ降りた。


「俺ら、そろそろ行くね。」


「あ、私とお父さんも一緒にいくよ~
すぐそこだし、歩いていこっか。」


ということで、俺らは荷物をがらがらと引いてすぐそこの集合場所へと向かった。

俺らがつく頃には他のやつらも何人かいて、どこも民宿の人たちが見送りに来ていた。


とりあえず俺らもバスに荷物をのせてから、最後の最後までここの母さんと父さんと話をしていた。


他の班だと泣いてるやつらもいるけど…


「よし、じゃあまた俺の怖い話な!」


「えー、また?」


「お前の全然怖くねーじゃねーか」


「ままま、そう言わないで!」


……この班はまた、智樹の怖い話に泣かされる。
もちろん、笑いすぎて。


「これはまじで怖かった話なんだけどさ!
俺バイトの帰り道一人で歩いてたわけよ。
で、喉乾いたからそこらへんにあった自販機で飲み物を買ってたわけよ。
自販機って夜でもめっちゃ明るいじゃん?
で、その明るさに目が眩んでたんだけど、なんか気配感じで横向いたらさ、すげースピードでこっちに誰か走ってきてんの!

まじで暗闇のなか、俺に向かって走ってくんだよ!?
あれまじ怖かったのに「犯人は俺なパターンだろ?」


「そ、そう!犯人は大翔でさ!
俺超びびったわけよ!」


「…はは、思い出すとウケる。
あんとき、俺もバイトの帰りで智樹見つけたら話しかけようと走ったのに
なぜか俺に智樹が『うおぉぉぉ!?』とか大声で避けんでんだよ。
こっちのがビビったし、超ウケたわ。
なんか自販機にへばりついてるしさ、深夜の住宅街で友達見て叫ぶ男がどこにいんだよ。」


「ここにいんだよ!!
あれは顔が見えなくて超怖かったんだからな!!」


そんなビビりな智樹に、また青木と心優が笑う。
俺なんてその現場にいたから、二人よりも面白さがわかるからさらに笑う。

まじで今日一日でめっちゃ涙流してるわ。
しんどい。疲れた。



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