街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



心優がそういったけど、俺はタクシーへとそのまま向かった。


「ちょ、大翔…「覚えてるよ。」


忘れられるかよ。
この5年間、一度も忘れたことなんかない。

どの女と喋ったって、全部をお前を比べちゃうくらいに
お前は俺の忘れられない女だよ。


「じゃあ…「明日、何時の飛行機?」


「え、お昼だけど…」


「ここのホテル泊まってんの?」


「そうだけど…」


「なら明日の朝あの喫茶店で待ってる。
朝8時に、あの喫茶店で。」


「え、あの喫茶店って…」


「心優ならわかるだろ。
じゃあな。忘れんなよ。」


と、それだけ言ってすぐに俺はタクシーに乗った。
今言うことだってできる。

……でも、やっぱり大事な話はわざわざ呼び出すものだって、ガキの頃からの決まり事だから。



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