街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「先生~。日誌取り来たー。」


「お、七瀬がちゃんと来るなんて珍しいな。
ほらよ。
それと今日半日になったから。みんなに言っといて。」


「え!まじ!?」


「午後には天気も荒れてくるみたいだしな。
お前も掃除したらさっさと帰れよ?」


…そうか、掃除があんのか、俺。
めんどくせー。

ま、早く帰れるならなんでもいいわ。
今日はバイトも休みだしラッキー。


「ラッキーニューース!!」


すぐそこの教室に戻るなり、俺はみんなにとりあえずお知らせといこうか。


「今日台風来るから半日だってさー」


おかげで俺の機嫌も最高潮だよ。
授業も楽だし、明日は土曜日で休みだし、バイトも休みだしな。


「智樹~、掃除手伝ってけよ。」


「はぁ?絶対無理!
雨がひどくなる前に帰りてーし。」


「んな早く荒れねーだろ。来るの夜だし。」


「にしても掃除はお断りだな。」


「昨日ナンパ手伝ってやったのに。」


「それはそれ、これはこれ。
だいたいナンパじゃなくて注意されただけじゃねーか!」


そりゃお前があんなとこ選ぶからだろ。
もっと離れたところでもよかったと思ってたけどな、俺は。



< 20 / 217 >

この作品をシェア

pagetop