街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「先生~。日誌取り来たー。」
「お、七瀬がちゃんと来るなんて珍しいな。
ほらよ。
それと今日半日になったから。みんなに言っといて。」
「え!まじ!?」
「午後には天気も荒れてくるみたいだしな。
お前も掃除したらさっさと帰れよ?」
…そうか、掃除があんのか、俺。
めんどくせー。
ま、早く帰れるならなんでもいいわ。
今日はバイトも休みだしラッキー。
「ラッキーニューース!!」
すぐそこの教室に戻るなり、俺はみんなにとりあえずお知らせといこうか。
「今日台風来るから半日だってさー」
おかげで俺の機嫌も最高潮だよ。
授業も楽だし、明日は土曜日で休みだし、バイトも休みだしな。
「智樹~、掃除手伝ってけよ。」
「はぁ?絶対無理!
雨がひどくなる前に帰りてーし。」
「んな早く荒れねーだろ。来るの夜だし。」
「にしても掃除はお断りだな。」
「昨日ナンパ手伝ってやったのに。」
「それはそれ、これはこれ。
だいたいナンパじゃなくて注意されただけじゃねーか!」
そりゃお前があんなとこ選ぶからだろ。
もっと離れたところでもよかったと思ってたけどな、俺は。