街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「お待たせしました」


そういって差し出されるミルクティ。

……なんで?
なんでこいつらこんなにぎこちないわけ?
お前ら前に会ってただろ?


いい加減、目を合わせたらどうなんだよ。


「……ふふ、懐かしいや」


あ、笑った。


「よかったじゃん。」


「うん、誘ってくれてありがと。」


「いえいえ。
つーか今日何時までいいの?」


「んー…一時間ちょっとはいいけど。」


「なら、それ飲んだらちょい外行こうぜ」


「あ、うん。わかった。」


心優の返事を聞いてから、俺もミルクティを一口。
俺はなんにも懐かしくもないけど、やっぱりたまにはここのこれが飲みたくなるよな。


「あ、そうだ。先にこれ。
忘れる前に返しとくわ。」


とりあえず、借りっぱなしのタオルをな。


「あ、うん。
じゃあ私もカーディガンを…」


そういって大きな鞄から出てきた懐かしいカーディガン。
俺はそれを素直に受け取った。

ずっと俺と心優を繋いでいたこいつらも、俺らにはもう必要なくなる。
こんなものがなくたって、俺らは絶対つながったままでいたいから。


「ごちそうさん~。」


「私も。ごちそうさまでした。
……行こっか。」


「おう。」


たった10分。
心優はすぐに飲み干して席を立った。

こいつらの会話はまさかの0。
だから俺は

「大智~。」

行動に起こさずにはいられなかった。



「ん?」


「あのさ、心優はもう前進んでるから。
いつまでも大智に惚れてるわけでも、いつまでも傷を癒そうと必死になってるわけでも、罪を償ってるわけでもない。

心優はもう前に進んでる。
だから、大智ももう気にすんなよ。」


「大翔…」


「な?心優。」


「……うん、そうだね。
…大智。」


「えっ?」


「……また来るね。」


「…うん、ありがとう」


やっと、やっとこいつらが目を合わせて笑い合ったから
俺は心優を連れて店を出た。

心優を本気にさせた元カレだけど、でも俺も知れば知るほど大智がいいやつだって知っていったから
……また、こいつらが仲良くなってくれたらって心の底から思うんだよ。



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