街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「ん、そうだこれ。
ずっと前のだけど、修学旅行のときの写真。
よかったらどうぞ。」


「あー、まじかー。
……すっげ。懐かしい~。」


心優から渡された封筒の中からは、まだ幼かった俺たちだった。
どれもこれもが笑顔で、めっちゃ楽しそうで
くだらねぇことで笑い合えた俺らだった。


「…さっき、大翔
私も前に進んでるって言ったけど、なんにも変わってないこともあってさ…」


「言うなよ」


「……え?」


「今日は俺が話があって心優を呼び出したんだからさ
俺に喋らせろよ。」


「あ…、うん。わかった。
ごめんね。」


心優がそういって喋ることをやめて、少しだけ、本当に少しだけ沈黙の時間が流れたけど


「……俺さ、ずっと怖かったんだよね」


ずっと言ってこなかった俺の本音を、俺の意思で、俺の口から、俺の言葉で話し始めた。


「…怖かった?」


「うん。
俺の人生、これからどうなるんだろうってずっと怖かったんだ。」


誰にも吐くことができなかった、弱音を。



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