街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「……あー、もう仕方ねーな。
来いよ!」
「え、ちょ」
またなんか言ってるけど、無視。
確か職員室に貸し出し用の傘あったよな。
こいつ転校してきたばっかだし知らねーか。
とりあえず職員室だな!
「失礼します!傘貸してください!!」
仁科の腕を掴んだまま、職員室へと駆け込んだ。
この時間、さすがに先生が勢揃いだけど。
「七瀬くん、また?
夏休み前に貸した傘、まだ返してないでしょう。」
「や!今日は俺じゃなくてこっち!
俺はあるから!」
「そう。
でもごめんなさいね、今日はもう全部出ちゃったのよ。
誰かさんがさっさと返しに来ないから。」
……いや、そうなんだけどさ。
「つーことは?濡れて帰れと?」
「迎えは?ご両親仕事?」
「…親は来ません。」
おぉ、喋った。
教師にはちゃんと返事するのか。
「そう。
じゃあ七瀬くん、入れていってあげてね。」
「は?え、俺?」
「今から職員会議だし、あなたたちも早く帰った方がいいわ。
じゃ、さようなら。気を付けてね。
━━バタンっ、
……い、いや…なんだそれ…
「……仕方ねーなー。行くぞ。」
「ちょっ…」