街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



昇降口に着き、さっさと靴を履き替えさせて、俺の傘を広げた。


「ん、入れよ。」


「別にいい。」


「なにいってんだよ。
今日台風だぞ?わかってんのかよ。
親が来てくれねーなら俺が入れて帰るしかねーだろ。
早く来いよ!」


こいつ、相当な頑固者だから、腕を掴んで強制連行。
このまま一人で帰ってもこいつのこと絶対気になるしな、俺。


「だからいいってば!
遠いし「いいから早くしろよ。」


とにかくらちが明かない。
俺もなるべく早く帰りたいから、もう無理矢理逃げられないように肩に手を回した。


「ちょ、触らないでよっ」


「濡れるだろ。」


雨も風もかなり強い。
こんなところで揉めてる場合じゃねーんだよ。

とにかくこうでもしないと、こいつの肩が濡れる。
なんで俺の傘はこんな小さいんだよ!


「ちょ、うちはこっちじゃ…」


「いいからこっち来いよ。」


「はぁ?」


「俺んち、すぐそこだし。
家にいきゃ学校の傘があるからそれ使えよ。」


んでついでに学校に返しといてくれ。
俺絶対忘れるし。ちょうどいいわ。


にしても荒れてんなー。すげー雨。
裏の川、大丈夫だよな…?



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