街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



で、5分もせずに我が家へ到着。
川はまだセーフ。というか氾濫したら困るんだけど。


「ん、ちょい上がれよ。」


「……ここに、住んでるの?あなた。」


うわ、質問が来たよ。こいつから。
そりゃこんな荒れた天気になるわけだ。


「そ、ここだけど。
早く入れよ。」


さっさと鍵を開け、とりあえず中へ入れた。


「それより傘。」


「ちょい待ってろって。
ってか上がれよ。

あ、靴下濡れてるなら靴下は脱げよ。」


と、俺も靴下を脱いでとりあえずタオルを手にとった。


「ほらよ、拭けよ。濡れてるだろ。」


「あ、りがと」


ふーん?こいつ、教室じゃなきゃ声を出すのか。
お礼なんてはじめて聞いたけど。


「あの…一人暮らし?」


「どうみてもそうだろ。
このワンルームに親と住んでるように見えるわけ?」


あっつ。とりあえずエアコン。
あ、雨戸閉めとかねーと。


「あの、傘は?」


「あぁ、悪い。ちょい待って。」


先に雨戸閉めさせてくれ。
かなり濡れたから着替える前に閉めておきたい。
どうせ濡れるなら、先に。

……って、え!?


「…お前、帰れるか?」


「は?」


「ちょい、見てみ。」


俺がそういうと、大人しく靴下を脱いで仁科はこちらに来た。
そして窓の外を見て、絶対驚愕。

なんせ今にも氾濫しそうな川と、もうすでに川化してる道路。
まだ少しだけだけど、ここから一気に増える。経験からして。


「ここは鉄筋コンクリートだから問題ねーけど…どうすんの?」


「……やっぱり、学校で待ってればよかった。
親は来ないけど迎えは来たのに。」


「は?え、そうなの?」


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