街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
━━数分後
洗い物も済ませて、作ったチャーハンをもって机に向かえば、仁科はもうすでに弁当を食っていた。
「いただきまーす。」
ま、もう12時半だし、さすがに腹も減るよな、こいつも。
それからは黙々と飯を食い、5分程で俺は完食。
仁科はというとまだ食ってるけど。女って食うの遅いのな。
「ん、そうだ。お茶忘れてた。
飲む?」
「水筒ある。」
あぁ、それもそうか。
弁当があるなら普通水筒もあるよな。
「……あの」
「なに?」
俺が食器を持ち立ち上がると、珍しく仁科の方から話しかけてきて
でももうそんなことでは驚かない俺は食器をシンクに置いてお茶を冷蔵庫から取り出していた。
「…ご家族は?」
立ったままお茶を飲んでいると、すげー控えめに仁科がそう聞いてきたから、お茶を持ったまままた机のところへと戻った。
「病気で死んだ。
母さんは俺が小学生の時に乳ガン、父さんは5年前に胃ガンで
それを知ったのが俺が中学入ってからだった。
で、母さんが先に、父さんも俺が中学卒業前にな。」
大人を除けば、智樹しか知らないこの事実をなんとなくこの女にも話すことにした。
もうここにつれてきた時点で聞かれるだろうとは思ってはいたし。
「中学卒業までは親戚の家に引き取られて、じいさんばあさんと、おじさん家族と住んでたんだけどさ
まぁ家も狭いし、じいさんはボケてるし…
それで俺までってなると負担も増えるわけだから、俺は親戚の家を出たんだよ。
義務教育が終われば一人暮らしも問題なくできるから。
両親がいなくても親戚がいるから生活保護とかは受けられねぇけど、それでも両親他界だと受けられる支援もあって、ここも家賃ほとんど払ってねーし
公立だから学費も免除だしな。
あとはまぁ保険金とか、親が残した金とかで生きてる感じ。」
「……そう。
あなたもいろいろ大変なのね。」
「ま、そうだな。」
さてと、一通り話したところで。