街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「俺が話したんだから、お前も話せよ。
聞くだけ聞いて終わり、なんてことはねーよな?」
俺だって、智樹以外話したことのないことを話したんだ。
いい加減、お前のことも教えろよな。
「……なにが?」
「昨日言った人殺しってなに。
名門校から中途半端に転校してきた理由は?
なんでなにも喋らない?
お前は謎が多すぎるんだよ。
俺も喋ったんだから、お前も喋れよ。
俺、口は堅いから。」
俺がそういうと、仁科はお弁当を食べ終えて片付けを始めた。
静かに、静かに。
水筒のお茶を一口飲み、
「……だいすきな、友達がいたの。」
そう、話し始めた。
「友達?」
「うん。
私は幼稚園の頃から聖凛だったの。
小学生になる前に聖凛を受験して、そこからは知っての通り、エスカレーター式で高校まで上がった。
その間、幼稚園からずっと私は一人の女の子と仲が良かったの。毎日一緒で。
…うちは親が会社を経営してる、俗に言う金持ちで、私は令嬢。
でも友達の家は普通の家庭で、私はそれにちょっと憧れてたの。
私の親は正直、そんな一般家庭の人と付き合うな、みたいなお高く止まってる人だった。
それでも、私はその子が大好きだったから気にしないで仲良くしていたの。」
……令嬢、ねぇ…
まぁそれもわかんなくはないっつーか、そんな感じはするけど。
決して、安っぽくはない。全く。