街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「付き合って2週間くらいして、私初めて彼の家に行ったの。
その時、私たち初めてキスをして、なんていうか…その流れで…」
「あー、ヤっちゃった的な?」
「……あなたにそう言われるとすごく腹が立つ。」
「はは、図星かよ。
で?」
「……うん。
その人と行為が終わったあと彼寝ちゃって、時間も時間だし帰ろうかなと動き始めようとした時、寝言かのように『あいり』って言ったの。」
「は?……え、違う女、ってこと?」
「まぁそう考えるよね、普通。
私も当然そう考えたの。もしかして元カノのことまだ好きなのかな、とかさ……
だから知らないフリしてそのまま帰ったの。
それで次の日、学校で友達にそれを話したの。
まぁ気にしちゃダメだよ、としか言われなかったし、それしか言いようがなかったんだと思うんだけどね。
その流れで友達に『彼氏を紹介したい』って言われて…まぁ私もどんな人なのか気になってたし、私のその悩みも男目線での意見ももらえるかもって思って、会うことにしたの。
それで放課後、一旦着替えに帰ってから待ち合わせ場所に向かったの。
しばらく待ってたらさ、友達が彼氏を連れてきたんだけど、
……それが、なぜか私の彼氏でさ。」
「え、じゃあ二股…で、しかも仁科の方が浮気相手側で、本命は仁科の親友だった、つーこと?」
「そ。
本当にバカみたいでしょ?
友達の名前が愛梨、でさ……私その時本当に信じられなくて
どっちも、私からしたら大好きな人なのに…
……だから、私はその場にいられなくて家に帰らなきゃいけなくなったって言って帰ったの。
まさか、自分が好きになった人が友達の彼氏だったなんて思いもしなくて…
…初めて好きになった人なのに、私ってとことん見る目ないんだなって思い知った。」
「…逆じゃね?
逆に、初めてだからそんなこと、疑うこともしなかったんじゃねーの?」
「……それ、私をなぐさめてるの?」
「まぁ。」
「そ。
そのあとは私が忘れればいい。そう思って、もう彼とは会わなくなった。
友達から彼の話を聞くことがかなりあったから、忘れることは難しかったけど。
でも、だんだん忘れていく。そう思ってた。
……だけど、私は甘かったみたいで…」
「え、まだあんの?」