街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「そんなことがあって1ヶ月過ぎたくらい。
6月中旬かな。

生理が来ないことに気づいたの。」


「は?え、まじで?」


「まぁそうはいってもまだ17歳で不定期だったし特に気にしてはいなかったんだけど、だんだん嘔吐やめまいもあったりして
……まさかね、と思って市販の検査薬やったら見事に陽性。

本当バカだよね。
初めて好きになって、初めてキスして、その日に性行為をして、二股されてたことがわかったかと思えば妊娠、だなんてさ。」


「で、どうしたんだよ。」


「…しばらくは一人で悩んでた。
だって誰にも言えなくて、一人で抱え込むしかなくて……
だけど、お母さんに妊娠検査薬の箱を見つけられちゃって。
早く捨てればいいのに家のゴミ箱には捨てられなくて、処分に困ってたら見つけられちゃって。
もうごまかせなくて、妊娠してるって話したの。

そしたらもう大激怒。当たり前だけどね。
お父さんなんかショックで倒れちゃってさ。

で、相手を連れてきなさいって言われたけど言えなくて…
最初は、誰かに無理矢理されたのかって聞かれたけどそれは否定したの。
私が彼のことを好きだった気持ちに、嘘はなかったから。

だから…学校帰り、彼を待ち伏せして、事実を話したの。妊娠した、って。
会うのすら、友達が連れてきた日以来だったのにいきなりそんな話で最初はかなり驚いていたけど…

でも、彼の中に私とやり直して子供を育てる気持ちは全くなかった。
そりゃそうだよね。私なんて、所詮浮気相手にすぎなかったから。

それからはもう私の親が彼の親のところに行ったりしたの。
彼とはそれっきり会っていない。」


「……そか。」


聞いといて、俺はなんの言葉もかけることができなかった。
なにも思えばいいのかもわからず、なにも考えることができなかった。


「……でもね、私は彼のことが本気で好きだったから、下ろすことなんてできなかった。」


「……は?」


え、おろしてない…?
え?え?


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