街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「……それからはもうストレスで、精神的ダメージが強くて、そのまま流産。流れちゃった。
彼を失い、愛梨を殺し、赤ちゃんまで私は殺した。
それから愛梨の家族には多額の慰謝料を払うことで示談。
それで私は家族からも見放された。
恥ずかしくて、私を娘だともう認めたくないんだって。
……でもね、愛梨が自殺をする前、愛梨がその事実を別の友達に喋ってたみたいで
私が妊娠してたこと、愛梨の自殺の原因が私であることも学校にバレて、私の友達はもう私の友達ではなくなっていた。
学校も、そんな事実が外に漏れる前に私を突き放した。
それで私は転校することになったの。
退学じゃなくて転校で済んだだけでも感謝なのかもだけど。
……親にも家を追い出されて、今は私もあなたと同じ、一人暮らし。
だけどまぁ一応家の人が送迎をしてる。
まぁ面倒なことにならないように監視なのか知らないけど。
どうしてなにも喋らないかは人と関わるのが疲れたから。
話は以上。満足した?」
そう締めた仁科の顔は、本当に無で…
こんなことを聞き出した自分が、すごく情けなくなった。
「……悪かったな。思い出させて。」
「別に。あなたが聞いてこなくたって、忘れたことなんて一度たりともないから。
私もあなたに辛いこと思い出させたから、おあいこね。」
「……へぇ、お前そういうことも言えるんだな。」
「は?どういう意味?」
「そのまんまの意味。」
「……本当、ムカつく人よね。あなたって。」
「そりゃどうも。」
でも、俺はやっぱどこか嬉しくなってるよ。
お前にも、そんな普通の感覚があるんだなって。