街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「でもさ、なんで俺には喋んの?
智樹にはシカトじゃん。」
「そんなの、あなたが私のことを嫌ってそうだから。
私はもう恋愛なんてこりごり。
だから、私と仲良くしたそうな人とは関わりたくない。
だけど、あなたの声が私にも届いたの。
タイプじゃないんでしょう?
それならこちらも同意見なのであなたと私は結ばれない。
だからわざわざ嫌われるようなこと、しなくて済むじゃない。」
「あー、だから普段あんなクソ生意気そうな態度とってんのか。
あれ、本当に腹立つもんな、お前。」
「あなたたちのレベルが低いだけ。」
………む、かつくー…
なんなんだ、この女。
「ひとつ、聞いていい?」
「なんだよ。」
「あなた、彼女はいないの?
女の子と体の関係になるだけなの?」
「あー、彼女はいねーな。
俺も、そうやって束縛されんのは嫌いだし。
あいにく、俺も仁科と同じような考え。」
「どうして?」
「…俺ってイケメンやってるじゃん?」
「自分で言うのはどうかと思う。」
「別に普段から俺ってかっけぇな、とは思わねぇけど。
でもさ、みんな俺の見た目しか見てねぇんだよな。
……俺も、前は彼女がいたんだよ。
中一で付き合って、中学卒業まではケンカとかもあったけど順調に付き合ってた。
でも、別々の高校に入学して、あいつはなんか変わった。
俺と付き合ってることを自慢するかのように友達に紹介して回るんだよ。
かっこいいでしょ?っつって。
その友達もみんな言うんだよ。
かっこいい彼氏でいいなーって。
こいつ、俺の見た目が好きで俺と付き合ってんのか?って。
俺の魅力はそれしかないのか?ってずっと思ってた。
どいつもこいつも、俺の顔しか見てねーんだよ。
仁科が、誰でも抱く軽い俺を嫌いなように、俺も見た目で男を判断する仁科のこと嫌いだからご心配なく。」
そんな表面しか見てないやつ、俺の中には入れない。絶対に。