街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「あー、あっちー。」
とりあえず暑い。
後ろのやつも暑苦しい。
俺はもう、椅子に座って窓へ項垂れていた。
「そういや大翔はこの夏、何人女ができたんだよー。」
「……言っとくけどな」
くっだらねーことを言い出すから、俺は外から智樹の方へと顔を向けた。
この際はっきり言ってやる。
「俺はただ遊んでやってるだけ。
本気で付き合ってる訳じゃねーんだから、誰一人できてねーよ。」
「お前ってやつは…」
別に嫌いな訳じゃない。
だけど、やったあと"なんでこいつと寝たんだろ"なんて思う俺は、きっと誰のことも好きではない。
だから全員、一回きり。
「大翔ってさ、誰かを好きになったりすんの?」
「はぁ?俺彼女いたじゃん。中学の頃。
好きじゃなきゃ3年間付き合ってねーわ。」
「ふうん?なら別れなきゃよかったのに。
大翔から振ったんだろ?なんで別れたわけ?」
「別に。
……ただ、高校入って変わったんだよ、あいつ。
しかも今更なにいってんだよ。」
「いいなー、俺も彼女ほしい。」
……こいつなんなの?会話できねーの?
まともの返事できねーのかよ。繋がってねーよ。
「智樹モテねーもんな。」
「るせぇ!」
男の俺から見たら、智樹も悪くはねーと思うのにな。
なんでモテねーのかな、こいつは。