街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



━━5分後


「おう、早かったな。
あ、智樹と会った?」


「え?会ってないけど。」


「そ、ならよかったわ。」


とりあえず、あいつがこいつのこと好きなうちはバレねーようにしないと。
学校で話すくらいならいいけど…さすがに家はなしだし。


「ま、上がれば?あちーし。」


「……もう9月も下旬だけど。
いつまで暑がってるの?」


「俺は暑がりなんだよ。」


さてと、CDな。


「あ、そうだ。
お前さ、好きなタイプとかあんの?」


「は?なに急に」


「いいから答えろって。」


「……浮気しない人。」


「それだけ?」


「んー…強いて言うなら、一緒にいて楽しかったり、気が楽な人。
私、本当はものすごく気が強いの。」


「知ってるけど。それが?」


「……そう、か。そうだよね。
私、ずっと聖凛だったから…聖凛イメージ壊さないように、清楚でおしとやかなのを演じていたの。
それが重荷だったわけじゃないけど…でも転校してみて、あーなんて楽なんだろう、ってやっと知ったの。

だから、こんな私でも
聖女じゃない私でも私を受け入れてくれる、気の使わない相手。
私が私でいられる人がいいかな。」


「ふーん?」


……ってことは、智樹でもいいのか?
いいよな?
だって智樹にもめっちゃきついし。


「…それが?」


「え?…あぁ、いや別に。なにも。
ほらよ、CD。ありがとな。買う金もったいなかったから助かった。」


「うん。」



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