街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



賑わう朝の教室の中、ここだけがシーンとしていた。

智樹はもうなにも言えずに固まり、心優はいつも通り読書を続け、俺は黙ってそれを見ているしかなくて。


「……じゃあ、大翔のことは好きなわけ?」


そのまま時が流れようとしたとき、智樹の口はそう動いた。


「…は?智樹、なに言っ「大翔と出掛けられて俺はダメってことはそういうことなんでしょ?」


智樹は俺の発言なんかなかったことにするかのように、そう言った。
朝、心優は俺のことが嫌いだから友達になったと説明までしたのに
それもすべてなかったことかのように。


「……そうだよ。」


「は?」


「大翔のことが好きだから。
それで、満足?」


心優はそう言って、智樹にまた可憐に笑った。
俺のあの嫌いな、似合うくらいの笑顔を智樹に向けた。


「わかったならもう誘わないでね。」


心優が智樹にそうとどめをいれたとき、担任が教室に入ってきて話はこれで終わった。

…けど

このままじゃあきらかおかしいだろ!
俺のことが一番嫌いなんだろ、お前は!!

なんなんだ、この展開は!
智樹の元気のなさ、どうしてくれんだよ!!


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