街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
まぁいつものことながら、だけど
俺の意思なんか関係なく、引きずられるように智樹に連れられ、街に来たわけだけど…
「どこなんだろなー、喫茶店。」
「はぁ?場所も知らねーのに来たのかよ…」
「大翔が知ってんのかと思って。」
この有り様。なんという無計画というか、バカというか……
なんで俺、こんなやつの友達なんだ。
「俺だって知らねーよ。
だいたい智樹の方がよく喋ってんだから、俺の方が知ってるっておかしいだろ。」
「だって二人、密会してるじゃん。
俺の知らないところで俺の知らない話してんだろー?」
してるわけねーだろ、アホか。
しかもなんでこいつはこんなに楽しそうなんだよ。
「…ったく、じゃあ帰るからな。」
「え!ちょい待てよ!」
「あ、ちょうど信号青だし急ぐわ。」
「こら!待て!!」
……せっかくあそこの交差点が渡れるのに、智樹にカバンを掴まれ前に進めず、俺が交差点につく頃には赤く変わっていた。
「あぁ!もう!なんなんだよ!
場所聞いてから来いよな!」
「仁科ちゃんが俺に教えてくれるわけないだろ~」
「じゃあ諦めろよ。」
と、交差点で智樹の方を向いたとき
「━━あ。」
200メートルくらい先だけど
かなり向こう側に、コーヒーの看板が見えた。
「…なに?なんか向こうにあんの?」
「そういえば前、心優と来た時にここで心優が向こう側見て固まったんだよ。
そんときに、向こうにはその喫茶店があるって言ってた。
もしかしてあれがそうなんかな」
「まじ!?行ってみようぜ!」
「でもちげーかもだし。」
「ダメで元々だろ!」
なんなんだよ、それ。
つーかお前、金あんのかよ。