街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「おかえりなさい。」
「ただいま。店番ありがとね。
ダイチくん、お客さんだよー。」
「あ、いらっしゃいませ。
お好きな席へどうぞ。」
店に入ると、少し薄暗いけど全体的にブラウンな、レトロな雰囲気の店だった。
お好きなところに、と言われても
明るいのはこのカウンターくらいで、テーブルは完全に暗闇。
窓はカウンター側の1つだけで、カウンターにしか座らせないような雰囲気だ。
「……カウンターにする?」
「そう、だな」
とにかく、テーブル側が暗い。
こんな特別広くもない店なのに……
しかも客は俺と智樹の二人だけ。ガラガラ。
まぁ、あの外観とこれじゃあな…
「なににしますか?」
そんな暗い店内、俺らがやっと座るとお兄さんはそう話しかけてきたけど、メニューすらない。
「あー、おすすめは…」
そう顔をあげた瞬間、お兄さんの顔が初めて見えてきて
「うちはなんでもおいしいですよ~。」
そう、優しくニコニコして話してるお兄さんの顔が、とんでもなく爽やかで優しそうなイケメンだった。
「…お兄さん、何歳?」
「え、俺ですか?17歳の高2ですよ。」
17…タメじゃん…
まじで?本当に同い年かよ…
「…大人っぽいって言われません?」
「あー、このエプロンしてここに立ってると言われますね。
制服着てればお客さんと変わりないですよ。」
そうやってにこやかに笑うこの店員は、やっぱり少し大人っぽかった。