街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「お待たせしました、ミルクティです。」
すぐに出てきたコーラに続き、こちらもさほど時間をかけずに俺に提供された。
暑いのは嫌いなくせに、こんな時期に熱いミルクティを飲むなんてな。
「……いただきます。」
音をならしながらコーラを飲む智樹を横目に、俺は静かにミルクティを口に含ませた。
「っ、うま。」
なんだこれ。
ぜんっぜん甘くないけどめっちゃうまい。
なんだこれ。
「はは、よかった。」
なんでこんなうまいのに、この店はこんなにも空いてるわけ?
……時間帯が悪いだけ?
「…あの、彼女とかいます?」
どうしても確信がほしくなった俺は、そんなことを聞き始めていた。
ミルクティの話をしていたくせに、いきなり彼女の話なんておかしいだろうけど。
「……いない、ですよ。」
そんな俺のおかしな質問に笑みを消し、軽くぎこちなさそうにそう答えた。
「えー、いそうなのにな。」
そう智樹が軽く発言をすると、店員はまたさっきと同じ笑みを張り付けて
「そんなことないですよ。
俺、彼女作る資格なんてないんです。」
ちょっと重めに、そう返した。
「……どうして、ですか?」
その重さに、決して軽くは返せなくて、俺も重めに聞き返すと
「俺は…人殺しだから。」
どこかで聞き覚えのある言葉が返ってきた。