街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「だから、俺は心優のこと好きだから。」


「なにそれ。意味がわからないんだけど」


心優はまた、あの似合いすぎるくらいの綺麗な笑みを浮かべた。


「それ。俺それ嫌いなんだわ。」


「は?」


似合いすぎるくらいの笑顔が、俺は嫌いだ。
こいつ、なんでこんな美人なんだよ。
なんでそんな笑い方が似合うんだよって、なんかイライラする。


「だから俺がそれ、ぶち壊してやるわ。」


どうしてお前はそんなに可憐にしか笑えないんだよ。
普通の女子高生はな、下品なくらいでかい声出して、腹抱えて爆笑してんだよ。

男の目線なんか気にしないくらい、楽しいことに夢中で、下品に笑ってんだよ。


「……意味不明なんだけど。
それってなんなわけ?」


「とにかく、俺お前のこと好きだから。
嫌いじゃねーから。

自分に好意を寄せてるやつは突き放すんだろ?
でも俺は、絶対諦めねーから。」


「……よくわかんないんだけど
とりあえず、大翔の言ってる"好き"は恋愛じゃなくて友達として、でしょ?

いちいち返事とかしなくていいやつだよね?」


「え、あぁ
それはまぁそうだな。」


「あ、そ。
好きにすれば?」


へ?え、いいんだ。
いいんだ?

こいつのことだから、この前の智樹のときみたいに突き放すのかと…


「じゃあ私もひとつ大翔に言っとくけど」


「え、なに」



「……私も好きだよ、大翔のこと。」



たった一言。
たった一言なのに、俺はその一言に

……激しく、胸が高鳴った。



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