街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「な……急になに…」
「はは、なに戸惑ってんの。」
あ、笑った。
声だして笑った。上品に、だけど。
俺の嫌いな笑い方だけど。
「…俺のこと、一番嫌いなんじゃねーの?」
「嫌いだよ。
見てると本当にイライラする。
……でも、それは大翔も一緒でしょ?」
…あ、そっか。
こいつも俺と一緒で、俺の嫌いなところもあれば、好きなところもあるってことな。
……どこが嫌いなんだろ。
「あ、そうだ。
智樹がさ、私と大翔が両想いだってまだ勘違いしてるんだけど
否定するのも面倒なくらい、一人で盛り上がってるからなんとかしといてよ。」
「あー、あれな。
つーか自分が蒔いた種だろ!逆になんとかしてくれよ。
俺が言っても全く聞かねーんだけど。」
「ま、別にいいやと思って。
勝手に勘違いしてるだけで、別に悪いことないでしょ。
たくさんの人が勘違いしてるならまだしも、智樹だけだし。」
「……なるほど、確かに。」
って、なんで俺が納得してんだ?