街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



━━翌日


「おっはー。」


10月に入り、だんだん涼しくもなってきたから俺の朝の機嫌もまぁまぁだ。
自覚があるくらいに。


「大翔おはよ!」


「おう、はよ。」


そんなご機嫌な俺に、前抱いた後藤が腕を絡ませてくる。
…これだけで、何が言いたいのかわかるし。

散々『一度寝た相手とは寝ない』と言ってきたにも関わらず


「今日うちこない!?親いないの!」


……懲りずに、またこんなことを言うし。


「わり。俺もうそういうのやめたんだわ。」


「え、どうして?」


「彼女ができたから。」


俺のその言葉に、後藤も含め
クラスが一つになったかのように、一瞬シーンとした。


「……え!?だ、誰?」


そんなことを聞く後藤に返事をする前に、とりあえず腕を抜いて、
…なんてしてたら俺の彼女が教室に入ってきたから


「あ、心優おはよ。」


俺は笑顔で挨拶する。


「おはよ、大翔。」


そんな俺に、心優も似合いすぎる、俺の嫌いな可憐な笑顔で挨拶してさっさと席に向かったから
俺もそれを追いかけるように席についた。


「……えぇ!?」


そんな俺らに、クラスの男が大声で反応をした。


「ま、まじかよ大翔!」


「いつの間に仲良くなったんだよ!」


「つーか智樹はいいのかよ!」


と、あっという間に俺の席の周りは男だらけ。
モテる女が彼女だとこういうこともあるのか、なんて感心するわ。


「智樹は知ってるし。」


こんな状況なのに、男共の向こう側に見える心優はもうすでに本を開いていた。



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