街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
転校生と同級生。
転校生のピンチは俺のもの。
俺と心優が恋人関係になって早二週間。
俺らは相変わらずな関係なまま毎日を過ごしていた。
暑さもすっかり引いて、俺の好きな季節がやって来た。
といっても寒いのも嫌なんだけど。
今の時期だけだよ、いいのは。
「てかさ」
「なに」
「もうすぐ修学旅行じゃん?」
「そうだな」
あと2週間もすりゃ修学旅行。
俺と心優、智樹は予想通り同じ班で、席替えをしても俺らは変わらず近かった。
そして相変わらずな窓側、後ろの席。
まじでここは譲りたくない。
結局、心優は地味で特になにも話さない女子とペアを組み、俺らの班はなんとも静かだ。
「準備とかした?」
「してねーよ。
ってか準備とかなにするわけ?服とか持ってるやつで良いし。」
「えー!つまんねーな、お前は!」
……ただ一人、智樹だけが騒がしいこの班は、なんともアンバランス。
「ねー、仁科ちゃんは準備とかした?」
「え?ううん。
でも鞄は買わないとなーって思いつつ、買いに行けてない。」
「あぁ、鞄な。
スーツケース的なやついるよな。
あれは俺も買わねーと。」
でもあれ高そうだな~。
しかも買って持って帰ってくんのも大変だし。
……ぜってー智樹連れてこ。