街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



そんなことを話しながら、俺らはいつもとは違い、街中を人混みの騒がしさに囲まれながら歩いていた。

夕方、高校生や子連れのお母さんなんかの話し声、いろんな店から流れてする音楽
そんな音で溢れかえっている中、


「…心優?」


俺の彼女を呼ぶ声だけが、確かに俺の耳にも入っていて、でも俺よりも早くとなりにいる彼女は前を見つめていた。


「…美奈子」


たったその一言だけを発して。


「誰?友達?」


でも、当然のことながら俺は見たこともない女の子。
私服だけど…どうみても俺らと同じ高校生くらい。


「……や…「新しい彼氏?」


…心優が答えようとしてんのに、言葉を重ねて遮んなよ。
待ってろよ、おい。


「…そうだよ。」


そんな女の子に、心優はまっすぐと答えた。

"新しい彼氏"

そう言われたってことは、前に彼氏がいた事実を知ってるやつな訳で、
あー、聖凛の子か。
なんて予想は容易にできた。


「愛梨のことがあってまだ半年なのにもう新しい男?
切り替え早いね。
もうてっきり恋愛なんてしないと思ってたけど、心優も懲りないね。」


「……美奈子には関係ないでしょ。」


「そうね、関係ないね。
……でも、心優だけが幸せになるなんて絶対に許さない。
私は絶対、心優を許さないから。」


美奈子、とかいう子はそれだけを言って、心優の横を通りすぎて言った。



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