街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
俺んちにつくなり、飯は心優に任せて俺は洗濯物を畳んでいた。
一つ一つの作業が遅くて、見てるだけで不馴れなのが伝わってくるけど……
でも、学校じゃいつも完璧な心優がこんなに苦戦してる姿はなかなか見られないから、俺は面白くて仕方なかった。
「どう?進んでるか~?」
たたみ終えた洗濯物をもって、ちょっとだけキッチンを覗いてみたけど、まぁー汚ねぇ。
料理できないやつがやってるんだな、と一目瞭然。
「ま、まだだから!
大翔は宿題でもやってて!」
「はは、わかったよ。」
本当に学校じゃ絶対に見ることのできない心優の表情や姿、声がいつもと違いすぎて
……正直、可愛くて仕方なかった。
こんな姿が見られるのは俺だけで、"彼氏っていいもんだな"なんて、初めて思った気がする。
「……あれ、今日宿題なんかあったっけ」
「えー?聞いてなかったの?
美術の絵だよ。続きは家で書いてきて、来週提出だって。」
「え!絵!?なんだそれ!超絶だるい。」
「……そういえば大翔寝てたね。」
「心優はもう書いたの?」
「とりあえず構図はね。
あとは軽く直して色塗るだけ。」
「うわー、まじかー。」
だいたい絵の具とかもねーし。
美術室のやつを借りるわけ?
「……ってかなに描いた?」
「んー、景色っていうか
私の席から見えるものをとりあえず。
みんなはフルーツとか教室とか描いてたけど。」
「智樹は?」
「智樹は花だと思う。花瓶のところで描いてたから。」
うわ、あいつが花とか似合わねー。
「なんでもいいんだし、大翔も描いたら?
あ、でもキャンバスがないのか。」
「なんにもない~」
「じゃあ明日ちゃんと美術から持ってきなよ?」
「絵の具は?」
「絵の具もないのー?
美術室のでもいいし、私が貸してもいいけど。」
「やったね。」
まぁ…でもめんどくせーことには変わりないな。
絵かぁ。なに描こう。