街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
俺はそれからなにも発せず、黙々と心優が作ってくれたオムライスを食べ
「ごちそうさん。」
5分程で完食した。
「やっぱ誰かが作った飯はいいな~」
「……そう?」
「格段にうまく感じる。」
本当に。
……っていうか、心優と付き合う前は夕飯は必ず一人だった。
それに比べたら、今は天と地ほどの差がある。
「ありがとな。」
「…大翔が素直すぎて鳥肌たつ。」
「可愛くねぇやつ。でもま、
心優のおかげで飯もうまいし、そんなひねくれ口も可愛く思えてくるわ。」
「はいはい。」
…本当、リア充ってこういうことを言うんかな。
暇だと誰でもいいから誰かを抱いて、抱く度になんか虚しくなってたのに
虚しくなりたくなくて、また誰かを探してたはずなのに
…今じゃ、誰を抱くこともなく心が満たされてる。
智樹といるときとは違う
他の女といるときとも違う
……前の彼女といるときとも違う、この不思議な感情は
いったい、なんなんだろうな。
「ねぇ、大翔」
「んー?」
「大翔ってさ、幼馴染みとかいる?」
「幼馴染みねぇ。
俺はいないかな。一番長いのが智樹。
なんで?」
俺がそう返事をした頃、心優はオムライスを食べ終えて「ごちそうさまでした」と手を合わせていた。
そして水を一口のんで、目線は下に向けたまま話し始めた。
「さっきの子…美奈子はね、私の元カレの幼馴染みなんだって。」
「……へぇ?そうなんだ」
で、なんで元カレの幼馴染みが、心優のことを許さないんだ…?