街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
その日の昼休み、俺は心優をつれて
……智樹は置き去りにして、西館のあの教室へ来ていた。
学校じゃほぼ二人きりにはならないから、たまにはな。
「あ、教室戻る前に美術室よって、キャンパスとか貰ってきなよ。」
「うわー、そうだった。
まだあったよ、宿題が…」
絵か。なに描くかな~ほんと。
……心優はどんなん描いてんのかな~。
「……あ、え?」
「ん?なに?」
「ちょ、大翔見なよ。」
「んー?」
窓の下を見つめる心優に言われ俺も窓側に移動し、下を見ると
「え、まじかよ。告白的な?」
「じゃない?雰囲気的に。」
智樹が見たことない女の子となにかを話していた。
西館の裏、誰も来ないようなこんなところで。
「へー、智樹もモテるんだ。」
「お前なぁ、あれでも智樹は昔モテたんだよ。
普通に彼女くらいはできそうな見た目してんじゃん。」
「あー、そうかもね。
ただ近くに大翔がいるから、それが目立たないだけなのか。」
「え、それってもしかして俺がイケメンって言ってる?」
「そういうところがムカつくよね、大翔って。
……でも、イケメンだとは思ってるよ。最初っからね。」
うはー、まじかよ。
心優に言われると一段と嬉しいんだけど。
あんなイケメンと付き合ってた心優が俺を認めたよ。
……見た目だけだけど。
「…サンキュ。」
なんかめっちゃ嬉しくなって、素直にお礼をいうとそれが相当意外だったのか心優は少し驚いた顔をして、俺から目をそらした。
「……こっちこそ、ありがとね。」
「え、なにが?」
「朝、いろいろ言ってくれて。
大翔がいなかったら私、教室に入れなかったよ。」
「はは、そんなん
俺は彼氏なんだから当然じゃん?
それに、ただ単に俺がムカついただけだし。」
俺の彼女のことを、なにも知らないやつらが好き勝手言ってんのが
イラついて仕方なかっただけだし。
「それでも、嬉しかったから。
大翔は流されないで私なんかのためにクラスのみんなに逆らってくれて。
私の味方をしてくれて。
なんかさ、大翔と智樹なら私の全部を受け入れてくれるんだろうなって思ったよ。」
「うわ、俺は彼氏なのに智樹と同じ枠かよ。」
「あはは、そういう意味じゃないけどさ」
え、笑った。
声だして笑った。あの心優が。
可憐でもなんでもないその笑顔に
「……なに固まってんの?」
「あ、いや」
思わず、見惚れてしまっていた。