大っ嫌いな私
そういって、にかっと笑った顔にどきりとした。

……そして。

「べ、別にボタンちぎってとか頼んでないし!
わ、私の髪、切ってもよかったんだから!
感謝なんてすると思ったら大間違いよ!」

「……なんだよ」
 
みるみるうちに西谷くんの顔が曇っていく。

……嘘。嘘。
ほんとはありがとう、って。
私の髪を大事にしてくれて嬉しい、って。

そういいたかったのに!

「あ……」

「……むかつく奴」
 
……結局。
西谷くんは、酷く怒ったまま行ってしまった。

——これが。

私が恋に落ちたきっかけで、西谷くんに最悪の印象を植え付けてしまった事件だ。
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