5年3組パラダイス
「ええ?そうなのか???そろばんなんて、塾に行ってたけど全然進級できなくて、すぐ辞めちまったよ。そろばんの基本がそんなに感単に覚えれて、それでそんなに頭よくなれるなら、もっかい習ってみようかなぁー?」
『計算が速くなれば、算数なんて楽しくってしょうがなくなって、そのうち中学生で習う方程式の法則だって、歌で覚えちゃえば簡単に覚えられるようになるし。』
「ほ、方程式・・・って何だ?まさおは中学生の勉強も出来るのか?」
『病院生活がヒマだったから、教科書とか、辞書とか丸暗記して、それでもまだ足りなくて、色んな本暗記してたから・・・。でもこれは歌で覚えたというより、知らずに身についた速読が役立ったのかなぁ?』
「丸暗記~?!マジかよ。頭ん中に辞書持ってたら、テストで100点当たり前だよなー。辞書ひきながらテスト受けてるのと一緒だもんよ。惜しいよなぁ、おまえ死んじまって。まさおなら生きてたら東大もまっしぐらなんだろうな・・・。」
『でも、ボクが健康に生まれてきてたら、やっぱりみんなとスポーツしたり遊んだりしてばかりで、勉強なんてあんまりしてなかったと思うし、結局同じだよ。』
「そういうもんなのかなぁ・・・?」

 そう、かつお君は、いつも病院のベッドの横には、病院の図書館で借りてきた沢山の本が山積みになていたり、ボクもかつお君の代わりに学校の図書館から本を借りてきてあげたり・・・毎日毎日・・・本ばっかり読んでて、本を読んでいる時間がとても楽しいって言ってたけど・・・、みんなで運動会した時に思ったんだ。本当はそれしかすることがなかっただけで、本当はかつお君は学校でみんなと一緒にスポーツしたり、駆け回ったりしたかったんだなぁーって、・・・思ったんだ・・・。


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