5年3組パラダイス
家に着いても、ずーっと、かつお君はリュックの中から出てこなかった。だから僕はベランダに出て、リュックを逆さにしてかつお君を無理矢理プールに放してやった。

『何するんだよ将太君!もう!』
「だってスゴイじゃん、多分コリンちゃん、かつお君の事が好きになったんだよ!神様が流れ星の願い事叶えてくれたんじゃん。本当に願い事が叶うなんてビックリだよ!」
『あ、やっぱりそう思う?』
「思う思う。絶対そうだよ!第六感!」
『ボクの自惚れじゃないよね?』
「じゃないと思うよ。だって、あれは恋する女の子の目って感じだったと思うよ。」
『恋したことがない男の子がよく言うよ。現実味がないね。』
「僕、女の子を好きになったことはまだないけど、好きになられたことはあるから、わかるよ、なんとなく。」
『えー、初耳!そうだったの?相手は誰?何時?』
「相手は誰かだなんて教えられないよ。その子に恥をかかせることになるから。だけど去年のバレンタインにチョコ貰ったんだ。お手紙と一緒に。」
『な、なんて書いてたの?』
「好きです。付き合ってください。」って。
『すごーい。やっぱりスポーツ万能のイケメン将太君はモテモテだね。どうしてOKしなかったの?』
「どうしてって、そりゃ、とても元気で可愛い子だったし、男の子にも人気のある子だったけど、僕まだ小学生じゃん。それに、クラスメイトで友達だし、ボクにとって特別って感じしなかったから恋じゃないと思ったんだ。」
『そっかー。そうだよね。恋って友達とは違うんだよねー。』
「で、どうすんの?コリンちゃん。付き合うの合わないの?」
『付き合うわけないよー。わかってるくせに!』
「分からないよ。どうして?好きなんでしょ?流れ星にお願いしたくせに、願いが叶えられたら、やっぱりダメだなんて無責任だよ。今はお互い好きなんだからいいじゃん。付き合っちゃえば。」
『ごめん、友達にこんな事言いたくないけどさ、将太君って・・・』
「なに?僕がどうかしたの?」
『頭、悪い?』
「は、はぁぁぁー?!何それ、酷いなぁ!友達に向かって、しかも恋の応援してる優しい親友に向かって頭悪いって言うか、普通?!!。」
『だってさ、ボク今マグロだよ?わかる?魚なの。さ・か・な!』

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