5年3組パラダイス
「まぁ、そう、だけど・・・。」
『それに、コリンちゃんは丘の上の哺乳類。』
「そんなの関係ないじゃん。愛さえあれば種族なんてー。」
『まぁ、間違えてもツガイにはなれないでしょ。ツガイって意味わかってる?夫婦ってこと。夫婦ってことは結婚するんだよ。結婚して、もし子供が生まれたら、その子は山で暮らすの?海で暮らすの?ってか、現実的に哺乳類と魚類ではツガイにはれないし家族も作れないの。』
「家族作れなきゃ愛し合う価値は無いって言うの?世の中には子供のいない夫婦だって沢山いるじゃないか!」
『そう来たか。あのね将太君、今何歳?』
「この間11歳になったけど?」
『そう、ボクも同い年の11歳の5年生。夫婦になるなんて、ふつー考えないってば。』
「だったらいいじゃん。付き合うだけでも!」
『あのね将太君・・・あんまり言いたくないんだけど・・・、』
「こんどは何さ?」
『ボクはさ、・・・もう、死んだんだ。』

「・・・!」

『四十九日を迎えたらお別れなんだ。』

「あ・・・。」

『勿論ボクはコリンちゃんの事大好きだ。コリンちゃんもボクの事好きになってくれたかもって思った時はすごく嬉しかった。』

「・・・・」

『だから・・・、深入りしちゃいけないんだ。』
「で、でも!」
『応援してくれる気持ち、すごい嬉しい。有難う。でも無理なんだ。だからいいじゃないか、お互い友達で。素敵な思い出ができればボクはそれだけで嬉しいんだ。コリンちゃんの悲しむ顔を見たらボクは安心して天国に行けないよ。女の子を泣かせてしまったら、罪が重くて地獄へ落ちちゃうよ?』

「かつお君・・・。」

『それに、まだやりたい事とか、やらなきゃいけない事とかも色々あるし・・・。』
「何?やりたい事?僕に出来る事なら協力するよ?何でも言って?」
『うん。ありがとう。』


恋って、切ないね・・・。

マグロとリスが地上で出会えた事だけでも奇跡なのに・・・、この間流れ星にお願いした願い事も叶ったと言うのに、両思いになれて、奇跡は2倍になったのに・・・。

これって、神様からの贈り物だと、僕はそんな風に思えたのにな・・・。



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