5年3組パラダイス
「ハイ、コリンちゃん、甘栗。殻がむけたよ。」
『ありがとう。』

こうして、僕たちは食べ歩きを楽しみながら、その後は僕が射撃ゲームをやって二人が応援してくれたり、輪投げゲームをしたり、結構楽しんだ。

途中、ミニうさぎが売られていた。コリンちゃんにはあまり見せたくない場面だった。

「可愛いでしょ、安いよ、一匹たったの800円。安いよ安いよ可愛いミニうさぎ。これでもう大人。これ以上大きくならないミニうさぎ。。。」

八百屋のおじさんが野菜をたたき売りするかのような決まり台詞で人が集まって来ては、うさぎが人間に買われて行く。

『うさぎさん達、どうしてあんな所に沢山いるんだろう?』
『あれはね、コリンちゃん・・・迷子のウサギさん達で、人間たちに里親になってもらう為にあそこにいるんだよ。』
『里親?』
『そうだよ。ワケあって、生まれてからお父さん、お母さんと生き別れてしまって一人ぼっちの子供達の変わりに親の代わりになってくれる人を探しているんだ』
『ふぅーん。そうなんだ。里親探しまでしてあげるなんて人間さんって優しいのね。』
「かつお君、ナイスフォロー!」

その時だった。
僕の後ろの方からガキ大将の声がした。

「お前―、将太!学校休んでる奴が夜店に遊びに来て、やっぱり、いつもズル休みだったんだろ。ズリーぞぉ!」

「ま、学君!」

学君はその昔、中田勝男君の事を、『お顔真っ青、まさおくーん』と言ってからかっていじめていたガキ大将、張本人だった。その学君に見つかってしまったんだ。

「おめー、何、魚背負ってんだよ?今日の晩御飯のおかずかー?でっけー魚!」

そう言って、学君はかつお君をゲシゲシ蹴った。

「スーパーウルトラ、キーーーック!!」

ゲシッ!

「あぁぁぁ!!、わわわ、た、たんま。ちょっと、やめろって!!」
『いてー!、いてー!。こいつ、マジ蹴りしやがった!動物保護協会に訴えてやる!』
「か、かつお君!大丈夫?」
『大丈夫じゃない。痛かった。ま、学君めー!絶対、呪ってやる!』

「?おめ、今、魚に向かってかつお君って言った?」

ヤバイ!と思った。

「へ?い、言ってない。」
「いや、言ったよな。それ、かつおなのか?マグロっぽいぞ。」

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