5年3組パラダイス
そこへクラスの男子達のブーイングがはじまった。

「学ぅ、クラス一元気で明るい香織ちゃんを凶暴呼ばわりすんなよ!香織ちゃんが乱暴になるのはおめーが香織ちゃんをからかってっからだろ!」
「顔だって可愛いし、気も利いて頭も良いし、おめー、香織ちゃんのどこ見てそんなことほざいてるんだよ。」
「そうだよ!学のバカ、おめーなんか香織ちゃんのこと好きになる資格ねぇんだよ。」

実は香織ちゃん、クラスの女子の中でも人気ナンバーワンだったのでした。
そして腕組みをして、学君に向かって得意そうに笑って言った。

「そうよ!超迷惑ぅ!学ブーなんて最悪!絶対カレシにしたくないナンバーワン!」

その時一瞬にして、学君の顔が引きつったのを、僕もかつお君も、そしてクラスメイト皆が見逃さなかった。けど、香織ちゃんはその顔に全く気づいていないし、学君が香織ちゃんを好きだなんて本気にもしていない様子だった。

『うわっ、香織ちゃん、キッツーイ。』
『なんか、人間さんって、好きな相手に嫌いって言ったり・・・変わってる種族なのね。』
『そ、そうだね。コリンちゃん。人間は素直になれない愚か者が多いのさ。』
『人間さんも、少しはお魚を見習えばいいのにね。』
『お魚・・・って、僕の事?僕も元は“ 人間さん ”だったんだけど・・・コリンちゃん・・・。』

と、かつお君とコリンちゃんの会話のやり取りも聞き逃しはしなかった僕でした。

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