5年3組パラダイス
そして騎馬戦。

これもまた、僕がかつお君を背負って、他の班は米を背負っての騎馬戦です。普段の騎馬戦より10キロ重い騎馬戦で、しかも、みんなこの競技の前に結構疲れてたりして、みんなノロマのヘッポコ騎馬戦だけど、それがまた面白かった。

騎馬戦の勝ち点は結構高く設定されていて、騎馬戦の場合、背の高い学君の班は有利で、最後は僕と学君の一騎打ちだった。

「このやろう、将太、香織に好かれてるからっていい気になるなよ、どりゃーぁ!!」
「な、なってないよ、戦いにそれは関係ないだろう、うぉぉぉ!」

僕の背中でかつお君も叫ぶ。

『そーだそーだ!関係ないぞー。早く観念して帽子を渡せ!』
「うるせー、このマグロ!おめーなんか刺身にして食ってやる!」
『食えるもんなら食ってみろ。生涯呪ってやる。』

その時だ!

僕は確かに掴んだ!
学君の帽子を!

「やべっ!」と、必死で帽子を押さえる学君。このまま勢いで引っ張って取ってやる。勝つのは僕だ!

「うおー!」
「と、とりゃぁ~~~~~~~~~!」

やった!取った!

と思ったのに・・・

えーと、何が起こったんだろう?最後の方の一瞬の記憶が飛んだ。


気づいたら、僕は地面の上に大の字になっていて、上からみんなが僕を覗き込んでいて、僕の背中の下でかつお君がうなってた。

『うぅ…ん。イタタタ・・・。しょ、将太君痛い。お、重い、ど、どいて。』

「?!あれ、ごめん、かつおくん。」
「将太君大丈夫?」と、人垣を割って駆け寄ってきたのは香織ちゃん。
「えっと・・・?僕、どうしたんだっけ?」
「オレの帽子が完全に取られる前に、お前が崩れ落ちたんだよ。騎馬戦は5班が勝利!!」
「えぇ?えぇ?えぇ~?まじで?僕が騎馬戦で学君に負けた?うっっっそー、超ショック~!!がーん!」

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