5年3組パラダイス
クラスでは僕たち4班は5人編成の班で、5班は6人編成の班ということで、5班との人数調整の為に、くじ引きの結果3班から奈々子ちゃんがピンチヒッターに加わることになり、4班の外野にさっちゃんと清君を、五班は薫君と海那美(みなみ)ちゃんを外野に配置し、試合開始となった。

飯田君はホイッスルの変わりに人差し指と親指を口にくわえて格好良く口笛で試合開始の合図をし、ドッジボール一位決定戦の試合が始まった。

なんだかんだ言って試合を始めると、学君と香織ちゃん呼吸ピッタシで、午前中の二人三脚のような、おふざけコンビ的イメージが無くなっていて、本気モード入ってる!という目つきで、その希薄に負けて奈々子ちゃんと卓也君が二人一気に外野に送り込まれてしまった。

今、僕の班の内野には僕と順子ちゃんだけ。

ヤバイ!この二人って、もしかしてスポーツでは最強コンビ?

「やるじゃん、学ブー!」
「おう!任せとけって!いつでもパスよこせってんだ!」

「将太君、何ひるんでるの?香織にはどっちボールで負けたことなんかないわ。私を信じて」と、順子ちゃんが力強く叫ぶ。
「順子ちゃん!」
「将太&順子コンビ結成よ。将太君のクラス一のスポーツマンのプライドに賭けて、まさお君への友情にかけて、絶対勝たなきゃね!」
「うん!」

そう言って順子ちゃんが大きな声を出して香織ちゃんにボールを投げつけた。

しかし、香織ちゃんはしっかりとそれをキャッチする。

そう、勝利はかつお君への何よりのプレゼントになる。だから僕は絶対勝たなきゃ。

「ムッッカァ!同じ班だからって、将太君に馴れ馴れしくしないでよ、順子!」

今度は、香織ちゃんが順子ちゃんにボールを投げつける。

「この二人って、普段仲良しじゃなかったっけ?」

コートでは香織ちゃんが順子ちゃんのボールと言葉のラリーが延々と続いて、応援席では、狐につままれたような顔でそれを客観に見て楽しむクラスメイト達だった。



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