5年3組パラダイス
『これまたスゴイ。』
「うん。」

「まさおくーん、将太くーん、おっはようー。見て見てぇ。おめかししてきちゃった。」
「おはよう。スゴイ、香織ちゃんと海那美ちゃんも、気合入ってるね。」
『香織ちゃん、海那美ちゃん、おはよう。香織ちゃんクチビルが光ってるぅ。アイドルみたいだよ。』
「へへ。グロス塗ってるから。」
「よく見ると、校門前にうちのクラス男子も何人かいてたりして・・・もしかして、普段のジャージなんて着てるの、クラスで僕だけ?僕一人だけ、地味すぎて浮いちゃいそう。」
「将太君はいつも自然体で、おっけー!」
『ぷっ!将太君、見て、あれ。』

僕の背中でかつお君が噴出してしまった。

何がおかしかったのか?

校門のそばに立っているお洒落な少年達の中に、一人ちょっと違うんじゃない?みたいな正装をしている男子がいた。

茶褐色のスーツに蝶ネクタイを締めて、頭はしっかり七三に分けられているようだ。

「なんじゃ?あれ、学ブーじゃん。だっさぁ!」
「何あの格好。親戚の結婚式にでも行くの?みたいな、そっち系のお洒落じゃねーだろ、この場は!!つーか、もっと自然に、私達の普段はこんな感じです、みたいに言える様なカジュアル勝負でお洒落しろっつーの!」

女の子達も人の事は言え無そうな派手な格好だけど、でも、学君、やっぱズレてるよなぁ。ファッションに疎い僕がいうのも変だけど・・・。
そう、いかにも、今日これからインタビューされるので正装してまいりました。って感じ。それこそ、田舎者丸出しだよなぁ。もっと、普通で良いだろうに・・・と、僕も思った。


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