時の歌姫
「い、いやっ!」

容赦なく飛んできた棒の一撃をギリギリでかわす。


「ち、違うんです。あたしは。う、うわ!」

あたし、能力者じゃないのに!


釈明する隙も与えてくれず、男は下手なスイカ割りみたいに棒を振り回し続ける。


どうやら、誰もあたしのためには椅子のピラミッドを積んでくれる気はないらしく、


スイカのように叩かれるのは時間の問題だった。


逃げ惑う足ももつれ始めていた。
< 12 / 72 >

この作品をシェア

pagetop