時の歌姫
「きゃ」


ガタン!と大きな音がしたと思ったら、

いつの間にか椅子のピラミッドにぶつかっていて。


最早、誰の意志にもつながれていない不安定なそれは、あっけなくバランスを崩し始める。


う、うそ。

天辺が遥か高い椅子の山がスローモーションであたしに迫ってきた。


視界の端には同じようにポカンと見上げてる男の顔。

こんなヤツと心中なんてイヤだ−!

誰か助けて!


ギュッと目を瞑った。
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