時の歌姫
こんなとこで死ぬなんて嫌だ!


あせる気持ちで視界を探った。

もし、死んだとしたらあたしの体もあそこに転がってるはず、と思って。


馬鹿みたいな話だけど、あたしは真剣だった。


でもいくら目を凝らしてみても椅子の山の中にあたしは見つからない。

よかった。

あたし、生きてる?


だとしたら、この状況は何?


と、考える間もなく、もう一度体が大きくうねった。
「ひゃぁ」


体に何かが巻き付いていて、それがあたしを振り回してるみたいなのだ。
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