時の歌姫
それが一度しなるように動くと、あたしは大きく持ち上げられた。


「う、うそ。何?」


一瞬、グレイの空が目の端に映る。

遥か下には広場が見える。

あたしの体はいつの間にかテントを突き抜けていた。

そしてふわりとした浮遊感が体を貫くと、  

次の瞬間、嫌な落下の感覚。 


お、落ちる!


思わず固くした体は、ふわりと何かに触れた。
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